開催場所
Yahoo! JAPAN オープンコラボレーションスペース「LODGE」
プログラム
15:00 | Opening Remarks 山岸広太郎氏(株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ 代表取締役社長、 SVJPエグゼクティブ・コミッティー) |
15:05 | 第1部:海外市場でのHard Things 福山太郎氏(Fond Technologies, Inc. CEO) |
15:50 | 第2部:パネルディスカッション:海外への挑戦 杉江理氏(WHILL株式会社 代表取締役兼CEO) |
16:35 | 第3部:講演&ワーク:Y Combinatorへの挑戦 馬田隆明氏(東京大学本郷テックガレージ ディレクター) |
17:15 | Closing Remarks/交流会 |
第1部:海外市場でのHard Things
福山太郎氏(Fond Technologies, Inc. CEO)
佐藤輝英氏(BEENEXT PTE, LTD. Founder、SVJPエグゼクティブ・コミッティー)
第1部は、シリコンバレーで活躍する起業家の福山太郎氏がオンラインで登場。現地と東京の会場をリモートシステムでつないでプレゼンテーションが行われた。ベンチャー投資家の佐藤輝英氏がモデレーターを務めた。
「ここはベンチャー業界のメジャーリーグ。起業家も投資家もエンジニアも一流の人たちが集まっている。そこで毎日もまれて、全力で戦えるのは幸せなことだと思っています」
シリコンバレーでの日々について問われ、福山氏は言葉をかみしめるかのように語った。
世界屈指の起業家養成プログラムである「Y Combinator」(以下、YC)を卒業した初の日本人起業家として知られる。現在は、法人向け福利厚生サービスに特化したFondのCEOを務めている。
メジャーは起業家にとっての「夢の舞台」だが、そこで成功を手にするのは、むろん簡単ではない。
「シリコンバレーは投資家の数が多くて資金調達しやすいイメージがあるかもしれないが、起業家の数も多いので競争がすごく厳しい」と福山氏。
2011年に渡米した当初、とくにつらかったのは、英語や文化がわからなかったことだと打ち明けた。
「日本で起業したらそんな苦労はなかったはず。言葉ができないと、人を雇えないし、営業もできないし、資金調達もできないんです」
そんな八方塞がりといった状況の中、どうやって人を採用し、事業を成長させられたのだろうか。モデレーター佐藤氏の問いかけに、福山氏は次のように答える。
「こっちは言葉ができないにも関わらず、人生をかけてまでアメリカに来ているわけです。そんな覚悟を見て、『よし、こいつに賭けてみようか』と思ってくれる人もいるのかもしれないですね」
福山氏を起業家として成長させるきっかけになったのは、間違いなくYCだろう。3カ月のプログラムを通して、さまざまな経営のノウハウや心構えを学び、7回もピボット(事業モデルの転換)した。プログラム期間中は「コードを書く(プロダクトを作る)」「ユーザーと話す」の2つのこと以外は一切するな、とYCのパートナーたちから告げられたという。
プログラムの最終日に行われた「Demo Day」と呼ばれる発表会では、同期の65社とともに、約500人の投資家の前でピッチ(プレゼン)した。起業家人生で一度しかない大きなチャンスだ。
「楽しいけどプレッシャーも大きい。投資家たちはスタートアップをシビアに選別しています。ピッチが終わると、行列のできるスタートアップと、そうでないスタートアップがある。そういう残酷な現実も突きつけられます」
それでも、YCのプログラムに入ることは、初期の起業家たちにとって大きな目標であることに変わりはない。ではYCのパートナーたちは、いったい起業家のどこを見ているのだろうか。
福山氏はこう答える。
「『会社がつぶれるのは創業者がキーボードを叩かなくなった時だ』と言われています。成功するまで創業者自身が絶対にあきらめないことが大事。その覚悟があるかどうかを見ているのだと思います」
YC卒業後も何度も大きな壁にぶち当たり、それを乗り越えてきた福山氏。累計3000万ドル(約30億円)超の資金調達に成功し、フェイスブックやVISA、セールスフォースなど大手企業をはじめ、500社以上の顧客を獲得してきた。
最後に参加者へのアドバイスを求められると、福山氏は「99%の人はシリコンバレーに来ない方がいい」と言い切った。
「合理的に考えたら、日本で起業した方が絶対にいい。言葉の不自由がなく、法制度も理解できて、人脈もある。ではなぜ僕はそれを捨ててシリコンバレーに来たのか。それは理屈では説明不可能で、『人生で一発勝負したい』というロマンみたいなもの。もしそんな気持ちがある人は、我慢して日本でやるのはもったいないので、シリコンバレーに来て挑戦した方が良いです。ここはそういう人たちを歓迎する街です」