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2021年7月勉強会:ソーシャルオーディオの時代がやってきた!

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クラブハウスへの批判

音声SNSという新たなジャンルを開拓したクラブハウスだが、一方で、差別的な言論を助長していると批判もされてきた。

「昨年の秋頃から、白人至上主義者や反ユダヤ主義者などがクラブハウスを始めるようになったんです。僕が参加したルームでも差別的な発言を何度か耳にしました。もちろん反論しようとしたのですが、発言するチャンスすら与えられなかったんです。そういう状況にうんざりして、僕は2カ月くらいクラブハウスから遠ざかっていました」と、アンドリューズ氏は打ち明ける。

過激な思想をもつ個人や団体をどう締め出すかは、フェイスブックやツイッターなど他の主要なソーシャルメディアも直面している問題だ。

クラブハウスはこうしたアンドリューズ氏らの懸念を受け、ルームでの会話をモニタリングしたり、問題発言があった場合はユーザーがただちに報告できる機能を追加したりするなど、対応策を打ち出している。

「ソーシャルオーディオにとっては、今はまだ西部開拓時代です。考えていかなければならない問題はたくさんあります」と、アンドリューズ氏は言う。

「クリエイター経済」の誕生

クラブハウスをはじめとするソーシャルオーディオの隆盛は、シリコンバレーにおける企業とユーザーの関係性を根底から変える可能性がある。

アンドリューズ氏は「ユーザー数の増加にこだわるのは時代遅れです。これからはクリエイターの成長をいかに支援できるかが重要です」と言い切る。

同氏の言う「クリエイター」とは、デザイナーやアーティストなど特定の職業に就く人に留まらない。「クリエイティブなアイデアをもっている人はみなクリエイターです。歯医者や投資家、大企業の社員だってクリエイターになれます」とアンドリューズ氏。

ソーシャルオーディオの普及により、クリエイターの裾野がいっきに広がることになる。その結果、「クリエイター経済」と呼ぶべき新しい働き方やビジネスモデルが生まれると、同氏は主張する。

「過去10年くらいは、YouTuberなどに代表されるインフルエンサーの時代でした。一方、これからはクリエイターが活躍する時代です。大企業に所属する社員もクラブハウスでトークルームを主催する機会がどんどん増えていくでしょう。経営者はそうした社員のソーシャルオーディオ活動を奨励すべきです」

アンドリューズ氏が描くのは、クリエイターとブランド(企業)、ユーティリティ(クラブハウスなど)の三者が共存する世界だ。それを実現するため、仲間のクリエイターと協力して新たなプラットフォームの設立を現在進めているところだという。

「ブランドがクリエイターと組んで何か面白いことをやりたい、あるいはユーティリティが提携先のブランドを探しているといったときに、仲介者が必要になります。僕らはそれをサポートできる仕組みを作ろうとしています。パートナーシップ(提携)とコラボレーション(協働)はこれからの時代のカギになる。それをできるのがソーシャルオーディオなのです」

質疑応答

対談に続いて行われた質疑応答では、多くの参加者がアンドリューズ氏に質問した。そのやりとりの一部を次に紹介したい。

――一時期に比べると、クラブハウスの人気にやや陰りが見えてきているように思える。フェイスブックやツイッターなどが競合する音声サービスを打ち出す中、どういった差別化戦略をとろうとしているのか?

確かにクリエイターにとっては、初期の頃ほどクラブハウスに参加するメリットが感じられなくなってきています。昨年の春頃はルームを開けば多くのユーザーが集まったのですが、今はそういう状況ではありません。

でも根本的な問題は、クラブハウスがクリエイターをどのように支援するかだと考えています。クリエイターたちは時間と労力を割いてイベントを開くわけですから、金銭的な見返りも必要です。クラブハウス側はユーザーではなく、クリエイターの成長を応援しなければなりません。

同社はとくにはじめの頃、Kevin HartやTiffany Haddishのようなセレブの影響力に頼って、一般のクリエイターの支援にあまり積極的ではありませんでした。シリコンバレーとロサンゼルスの両方の世界を知っている僕に言わせれば、クラブハウスはシリコンバレー的なユーザー視点でビジネスをやってきたわけですが、ロサンゼルス的なクリエイター視点も大切だということです。

クラブハウスにとっては今がチャンスであり、正念場でもあります。ユーザーのためではなく、クリエイターのために何ができるかを真剣に考えなくてはなりません。この機会を逃せば、ライバル企業に市場を奪われることになるでしょう。

――あなたの提唱する「クリエイター経済」が広がれば、タレント事務所がセレブを仲介する既存のビジネスモデルは崩壊するのか?

今の時代は誰もが変化に直面しています。スタートアップやVC、PR会社、そしてタレント事務所も、例外ではありません。ラッパーのJay-Zのように、アーティスト自身がレコード会社のオーナーになったり、タレント事務所を経営したりするような例が今後増えていくことも考えられます。

コロナ禍でアーティストはライブ活動ができなくなった反面、タレント事務所に頼らなくても、ネットを通じて自分たちでファンと直接つながれることに気づきました。もちろんアーティスト側には販売契約やブランドとのパートナーシップを結ぶビジネススキルはありません。でもスキルがないなら、スキルのある経験者を雇えばいいだけの話です。

これからは新たなタイプのクリエイターが台頭してくるでしょう。起業家やアスリート、投資家、社会活動家など、とくにリーダーシップの分野では多くのビジネスチャンスがあると見ています。タレント事務所がクラブハウスによってもたらされる、そうしたインパクト(変化)を正しく理解しているかどうかは疑問です。

僕はタレント事務所とも仕事上でつながりがあり、良好な関係にありますが、彼らのビジネスは間違いなく危機に直面していると言えるでしょう。

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