活動概要

  1. コーポレート・プログラム
  2. マンスリー Benkyokai

2021年7月勉強会:ソーシャルオーディオの時代がやってきた!

一般公開
Speaker
ジェームズ・アンドリューズ James Andrews
  • Founder Authenticated
カリフォルニア大学ロサンゼルス校卒業(歴史学専攻)。大手音楽レーベルのソニー・ミュージックエンターテインメントやコロムビア・レコードのマーケティング責任者などを経て、ソーシャルメディア・マーケティングの世界へ。大手PR会社ケッチャムに在籍中の2007年、デジタル・ソーシャルメディア部門を創設。またマーケティング会社「Social People」など複数の企業を創業し、売却した連続起業家でもある。2017年、ロサンゼルスで起業アドバイザリー会社「Authenticated Ventures」を立ち上げ、会員制コミュニティの運営もおこなう。音声SNS「クラブハウス」で約240万人のフォロワーをもつ。
Moderator
シェリー・ブライアント Sheri Bryant
  • Sansar 社長

グローバルで多様なコミュニティ

「クラブハウスを始めたのは2020年5月です。きっかけは、VCのアンドリーセン・ホロウィッツからの紹介でした。僕は大きなコミュニティをもっているから、新しいプロダクトを立ち上げるときによく声をかけられるんです」

Benkyokaiの冒頭でクラブハウスを始めた経緯について尋ねられたアンドリューズ氏はそう話した。

クラブハウスは2020年3月にリリースされた会員制の音声SNS。コロナ下で「声」を使ったコミュニケーションというスタイルが受け、日本でも大ブレークした。ラジオやポッドキャストと違って、リスナーもときに議論に参加できるのが特徴だ。

そのクラブハウスで240万人ものフォロワーをもつ「インフルエンサー」が、アンドリューズ氏である。シリコンバレーのパロアルトで育ち、中学生の頃からプログラミングにはまった。テクノロジーが好きで、新しいサービスが登場するとすぐに試した。「ツイッターを始めたのも早かった」と、同氏は得意げに言う。

大学卒業後、音楽業界やPR業界で活躍。ソーシャルメディアの黎明期にSNSマーケティングの企業を立ち上げ、ナイキをはじめとするグローバル企業のPR戦略を担当した経験などから、業界を超えた幅広い人脈をもつ。

「僕自身はベイエリアで生まれ、ニューヨークやアトランタで一時期働き、中東や南米とも仕事でつながりがあるので、僕のコミュニティにはグローバルで多様な人が集まります。投資家もいれば、ラッパー、王族、NBA選手などもいますよ」

同氏が4年前に立ち上げた会員制コミュニティ「The Authenticated」には、そうした各界のリーダーやクリエイターなど約400人が参加する。コロナウイルス以前は、ストックホルムやマリブ(米カリフォルニア州)など世界中で少人数制のディナーパーティを開き、ネットワーキングに勤しんでいたというアンドリューズ氏。昨春、パンデミックが勃発してからは、オンラインでのイベントやディナーに切り替えた。

クラブハウス参加へ打診されたのはそんな頃だったという。

「コロナ下で自分がずっと3カ月ほどオンラインでやってきたことを、新しいソーシャルオーディオを使ってできることにワクワクしましたね。クラブハウスなら、僕がもつグローバルなネットワークを活かせるはずだと考えました」

その言葉のとおり、アンドリューズ氏はクラブハウスで「中東湾岸地域のクリエイティブ経済」と題するセミナーシリーズを開催し、サウジアラビアやドバイ、クウェートの王族やアーティストらと意見交換したり、農業やベンチャー投資、ブロックチェーンなど自らの興味に沿ってさまざまなトピックのトークルームを開いたりした。

「東京」をテーマとするルームを開催したこともある。アンドリューズ氏自身は日本を訪れたことはないが、日本に暮らす外国人や海外経験のある日本人など約1000人のユーザーが集まり、4時間ほどにわたって議論を交わしたという。「みんなで協力して『文化的な架け橋』を作るという素晴らしい経験ができた」と、同氏は手ごたえを口にする。

こうしたアンドリューズ氏をはじめとするインフルエンサーたちの貢献もあって、クラブハウスはコロナ下で大きな話題を集める。同氏が参加した当初、ユーザー数は約1500人、企業価値は1億ドル程度にすぎなかったが、今では1000万人のユーザーを抱える40億ドル企業へと急成長している。

音声ならではのメリット

クラブハウス成功の要因は何か? アンドリューズ氏は一つに「タイミング」を挙げる。

「ロックダウンが始まって、人々は自分たちの思いを共有できる場を求めていました。昨年5月以降、ジョージ・フロイド氏の事件(白人警察官による黒人市民殺害)やBLM(ブラック・ライブズ・マター)運動、大統領選挙など、社会を揺るがす大きな出来事が続きました。そんな中で、これまで自分の『声』をもっていなかった多くの市民に受け入れられたのだと思います」

互いの顔が見えない音声SNSだからこその利点もある。

「人の声には感情がある。本当に信念をもって話しているのか、知らないことを適当に話しているのかは聞き手に伝わります。あとモビリティー(移動性)は間違いなく利点の一つですね。動画ではないので、どこにいても参加できます。僕は散歩しながらトークしたこともありますよ」

こうして1年余りの間に、クラブハウスで約240万人のフォロワーを獲得したアンドリューズ氏。ホストとして心掛けていることについて、「よいモデレーター(司会者)になるには、場の雰囲気をつかまなければならない」と語る。

「僕はずっと自分がディナーパーティでホストとしてやってきたことを、どうすればクラブハウスで実現できるかを考えてきました。多くの人はTEDのような講演形式を想像するのですが、僕の主催するルームでは参加者同士の交流や雑談があります。モデレーターとして会話の流れを把握し、必要なら割り込みますし、場の雰囲気づくりのためにDJとして音楽を流したりもしています」

12