活動概要

  1. コーポレート・プログラム
  2. リトリート

2019年度SVJPシリコンバレー・リトリート報告

一般公開

今回で第4回目を迎えたSVJPリトリート。今年は9月19日−22日にハーフムーンベイにて開催されました。今年の企業サイトビジットは7月にコーポレートメンバーとしてSVJPに参画したグーグルの本社および、X社にて実施され、大変充実した内容となりました。

ホテルセッションはオーシャンフロントのリゾートホテル、The Ritz-Carlton Half Moon Bayを会場とし、シリコンバレーの第一線で活躍するリーダーたちの話を聞き、活発に議論し合いました。また、今年はグループアクティビティの時間を取り、参加者同士リラックスした時間の中でも交流を深めました。

サイトビジット

2019年9月20日(金)Google本社のサイトビジット

今リトリートのサイトビジットは、シリコンバレーの中心部、マウンテンビューに位置するGoogle本社のPartner Plexにて開催しました。Google合同会社日本法人代表のピーター・フェッジェラルド氏の挨拶でスタートし、続いてGoogle Cloud最高経営責任者のトーマス・クリアン氏が、Google Cloudが提供する機能や応用性、その戦略について語りました。

次にChronicleの営業責任者のジョン・ターナー氏がChronicleを「世界初、ペタバイトものデータを扱う地球規模のサイバーセキュリティのための遠隔モニタリングのプラットフォーム」と紹介。続いて共同創業者のワイアセック氏が、米国国防省のサイバーセキュリティ部門で働いた自身の経験と、2010年にGoogleのシステムがハッキングされたことをきっかけに、セキュリティ強化戦略を担当することになった経緯を冗談も交えながら紹介しました。

その後は、「Sidewalk Lab」について事業開発部長のマーク・リックス氏より、カナダのトロント市東南部のウォーターフロント地区の開発計画の詳細が紹介されました。

本ビジットのために特別にデザインされたパネルの前で写真撮影をしたあと、一行は二つのグループに分かれて、オフィスツアーに参加し、Google初代シェフCharlie Ayers氏の名を冠したCharlie’s Caféで、カジュアルな普段着姿の社員たちに混じって、ビュッフェ式の昼食を体験しました。

午後のセッションは、Googleのコアプロダクトである検索のプロダクトマネジメントチームを率いる徳生健太郎氏が登壇。Googleにおけるプロダクトマネジメントについて語った徳生氏は、シリコンバレーが現在も変わらずイノベーションの中心的存在であること、その一方で、昨今では世界のあちこちで似たようなハブが生まれ始め、シリコンバレーはそれら地域の成長を加速させる役割を果たしているとの見解を示しました。

Google Partner Plexにおける最後のセッションでは、ヘルスケア、環境課題、障害者の社会参加、教育、災害検知といった様々な社会課題に対し、AIを利用してソリューションを提供するGoogleの取り組みを、上級ユーザーエクスペリエンス研究者であるリカルド・プラダ氏が語りました。

続いてGoogle Healthのクレイグ・マーメル医学博士が、機械学習の医療分野への応用について語りました。

Google Partner Plexにおけるサイトビジット終了後、参加者はAlphabetのムーンショットファクトリー「X」に移動し、社内を巡る特別なオフィスツアーに向かいました。10億人の人々の生活に恩恵をもたらすテクノロジーの開発をミッションに、次世代に取り組む様子を、具体的事例ともにXがどのように世界に影響をもたらしているかを学びました。

1日のサイトビジットの締め括りとしてSVJP共同議長の近藤氏は、 “みんながワクワクしてはいりたくなるような”見事なストーリーテリングを通してGoogleが他社の連携を取り付け、社会実装を成し遂げていると述べ、一行は会場を後にしました。

セッションレポート: 9月21日(土)ホテルセッション

Session 1:Fireside Chat(基調講演)

ハーバード・ビジネス・レビューが選出する「世界の最優秀CEO」に選ばれた経験を持ち、今やテクノロジー業界を代表する経営者のひとりであるSeagateテクノロジー 取締役会長のステファン・ルクソ氏の基調講演。同氏は2000 年にSeagateを非公開企業にした後、2002 年からSeagateテクノロジー会長に就任し、その後、16年間にわたって CEOを務め、2009 年から 2017年に同社をS&P500(株価指数)でトップ 5に入る銘柄となるまで成長させました。

SVJP共同議長ダニエル・オキモト(スタンフォード大学名誉教授)とのファイヤーサイド・チャット形式で、Seagateを率いて今に至るまでの経緯、およびターニングポイントについて語りました。

Session 2:The Future of Payments (ペイメント市場の展望)

金融機関等、既存の決済サービス提供者に加え、技術系スタートアップ企業や異業種の参入により、ペイメント市場の競争はいっそう激化にあります。誰がこの競争の勝者となるのか… Poynt 創業者兼&CEOの オサマ・ベディエ氏が、オープンプラットフォームをベースにした決済端末システムの導入を通じて、現在の競争環境を大きく変革するという彼のビジョンについて語りました。

Session 3:Transforming Retail and Real Estate using Machine Learning and AI (機械学習とAIで小売と不動産の在り方を変える)

デジタル化の波が小売業界に変革をもたらしている現状を、共同創業者兼&CEOヴィブー・ノービー氏が、b8ta(ベータ)社のビジネスモデルを紹介しつつ、機械学習とAIが従来の小売と不動産業のありかたをどのように変革しているのかを概観しました。

Session 4:Geopolitical Issues Driving the Rise of Cybersecurity Risk in Organizations (サイバーセキュリティのリスクを高める地政学的課題)

2016年にアメリカ大統領選挙の不正操作に関する同社の調査を率いた経験を持ち、2018年までFacebookのChief Security Officerを務め、現在はadjunct professorとしてスタンフォード大学に在籍するアレックス・ステイモス氏が登壇。近年メディアの注目を集めるサイバーセキュティの問題について、サイバーテロに狙われているのはもはや政府やテクノロジー系の企業だけではないこと、そして、サイバー攻撃を阻止することは不可能として、企業はその影響を最小化するために対策を打つべきとして具体的な提案を示しました。

Session 5:The State of American Politics and the 2020 Election (アメリカ政治の現状と2020年の選挙展望)

スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際研究所のシニアフェローであるフクヤマ氏とSVJPアドバイザーのブラッドリー元上院議員が、2020年度の米国大統領選を来年に控えたアメリカを分析。トランプ政権がもたらした、反移民、ナショナリズム、ポピュリズム、政治的アイデンティティ、人種・民族・宗教的不寛容、そしてデジタル技術およびソーシャルメディアネットワークの影響など、米国政治のダイナミクス形成の背後で働く力学について語りました。

Session 6:Entrepreneurship Panel (日米の起業家精神)

ここ数年間で大きな成功を収め、日本の代表的起業事例の一つとされているメルカリの創業者兼CEOである山田進太郎氏は、メルカリのグローバル展開について語りました。一方、Sunrise 共同創設者兼エグゼクティブ・チェアマンでSVJP アドバイザーのデイブ・モーリン氏は、Facebookチームの初期メンバーとして、急成長する同社が抱えた様々な課題を克服し、その後、シリコンバレーの新進気鋭のベンチャー・キャピタルSlow Venturesを創業しました。煌びやかなイメージの「アントレプレナー」ですが、日米を代表する起業家の二人はあくまでも自然体で、穏やかな語り口で経験談を披露しました。

9月22日(日)クロージング・セッション

Humans in the Loop: The Artful Design of Technology (テクノロジーと人間の関係性を問う)

スタンフォード大学音楽部准教授であり、コンピューター音楽の専門家、人気アプリ開発者、デザイナー、そして研究者と、たくさんの顔を持つグァ・ワン氏。彼が追求する技術と人間との関係性について、機能性と創造性をデザインでどうバランスとるかといった哲学的な問いかけを、テンポのよいトークとテクノロジーを駆使したパフォーマンスで語りました。様々なメッセージが織り込まれたセッションが終了した会場は、大きな拍手に包まれました。