2024年のアニュアル・リトリートは10月10日ー13日にシリコンバレーのFour Seasons Silicon ValleyとハーフムーンベイのリゾートホテルThe Ritz-Carlton Half Moon Bayを会場に開催した。今回のリトリートは昨年に引き続きAIに焦点をあてるとともに、新しい試みとしてサンフランシスコ市内でのInnovator’s GALAを開催、これまで以上に現地のコミュニティとの交流を重視したプログラムとなった。
セッションレポート
2024年10月10日(木)
Session 1:未来への展望:生成AIが変える仕事と生活
ChatGPTの登場から約2年、生成AIブームは衰えを知らず、ビジネスや医療、法律など、さまざまな分野で活用が始まっている。この新しいテクノロジーの普及は、私たちの仕事や日常にどのような変化をもたらすのか。本セッションでは、創業からわずか3年でユニコーン企業の仲間入りを果たした
エンタープライズAIスタートアップGlean(グリーン)の創業者アルヴィンド・ジェインCEOと、シリコンバレーのVC大手クライナー・パーキンスのパートナーであるマムーン・ハミッド氏が登壇。Gleanのビジネスモデルを軸に、エンタープライズAIの活用例や投資のチャンス、懸念されるリスクへの対応など、幅広いテーマについて議論を交わした。モデレーターは、英金融大手バークレイズのエレクトロニック・バンキング部門グローバルヘッド、カマル・アーメッド氏が務めた。

モデレーター:カマル・アーメッド氏、スピーカー:マムーン・ハミッド氏、アルヴィンド・ジェイン氏
Session 2:AI革命の乗り切り方――企業がAIの力を最大限に活用するには?
日本企業はAIがもたらす変革の「波」にうまく乗ることはできるのか。またそのためには、どのような戦略が有効なのか。本セッションでは、金融大手ゴールドマン・サックスのベンチャーキャピタル・カバレッジ部門ヘッドを務め、日本企業との商談経験も豊富なケン・ハーシュ氏と、元起業家で、現在はVC大手ベインキャピタル・ベンチャーズのパートナーとして活躍するアーレフ・ヒラーリ氏が対談。モデレーターは前セッションに引き続き、投資銀行業界のベテランであるカマル・アーメッド氏が務めた。

モデレーター:カマル・アーメッド氏、スピーカー:ケン・ハーシュ氏、アリーフ・ヒラリー氏
Session 3:Startup Session #1
USリトリート恒例のスタートアップ・セッションに、今年は5社が登場。前半部となる本セッションではAIやロボティクスによる業務改革やデジタル化から先端医療まで、最新テクノロジーが起業家たちによって紹介された。モデレーターは、自動運転スタートアップWaymoの新市場開拓部門責任者を務める、日系4世のダナ・フジコ・ヘザートン氏だ。
- Ripcord 社長 兼 CEO サム・ファミー氏
- HerculesAI CEO 兼 共同創業者 アレックス・バビン氏
- Paradromics 最高科学責任者 ヴィカシュ・ギルジャ氏
10月12日(土)
Session 4:Startup Session #2
前セッションに続いて、今後大きな飛躍が見込まれる注目のスタートアップ2社がピッチを繰り広げた。宇宙開発の「ゲームチェンジャー」となりえる革新的な発射技術をもつディープテック・スタートアップと、事業の中身はおろか、その存在自体が謎に包まれているAIスタートアップだ。モデレーターは、セッション3と同じくダナ・フジコ・ヘザートン氏が務めた。
- SpinLaunch CEO デイビッド・レン氏
- WarpX 最高製品・戦略責任者 パリトシュ・マラビーヤ氏
- WarpX 最高技術責任者 クラウディオ・バシール氏
Session 5:人間中心のAI――AIの倫理、安全性、そしてポリティクス
AI開発競争が激しさを増すなか、著作権の侵害や個人情報の流出、軍事転用といった、倫理や安全性に関する課題が生じている。本セッションでは、スタンフォード大学の政治学教授で、安全なAIの開発・普及のために活動する「米国AIセーフティ・インスティテュート (AISI)」の上級顧問でもあるロブ・リーシュ氏が、人類の幸福に寄与するAIを実現するための制度設計や環境整備などについて提言を行った。モデレーターは、スタンフォード大学在籍時にリーシュ教授に師事していたという、SVJP共同議長のサイマ・ハサン氏(ベンチャー投資企業エボリューション共同創設者)が務めた。

スタンフォード大学 社会倫理学教授 ロブ・リーシュ氏
Session 7:AI時代にスタートアップから世界規模の企業へ
2024年のUSリトリートを締めくくる最後のセッションに登壇したのは、米IT大手セールスフォースの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のパーカー・ハリス氏だ。セールスフォースはいかにして無名のスタートアップから世界有数のテクノロジー企業へと変貌を遂げたのか。そしてその立役者の一人であるハリス氏は、生成AIがビジネスや社会・経済にもたらす変化をどのように見ているのか。SVJPエグゼクティブ・コミッティーのグレッグ・カルタビアーノ氏(プライベート・エクイティ企業HGGCのオペレーティング・パートナー)がモデレーターを務めた。

セールスフォース 共同創業者 兼 最高技術責任者 パーカー・ハリス氏
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