頻発する自然災害や猛暑など世界が気候危機に直面する昨今、地球温暖化は喫緊に取り組むべき課題だが、温室効果ガス削減目標を達成するまでの道のりは遠い。そんななか、世界的に注目を集めているのが、CDR(Carbon Dioxide Removal)技術だ。3月のマンスリーBenkyokaiでは、米国エネルギー省(DOE)のCDR上級顧問ロジャー・エインズ氏と、米ローレンス・リバモア国立研究所のエンジニアで長年、炭素管理の技術開発に取り組むコーリー・マイヤーズ氏が登壇し、CDR事業の現状と課題を解説した。モデレーターは、ウェブブラウザ開発スタートアップVivaldi Technologiesの共同創業者である冨田龍起氏が務めた。
100億トンの「CO2除去」が必要
ロジャー・エインズ氏はまず、温室効果ガス削減において現在どのような課題があるかを説明した。2015年の「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)」で採択されたパリ協定において、世界の平均気温上昇を産業革命以前と比べて1.5℃程度に抑える目標が掲げられた。これを踏まえ、米国やEU、日本は2050年までに温室効果ガスの実質「ゼロ排出」を目指している。
続きはSVJP会員のみ閲覧できます