活動概要

  1. コーポレート・プログラム
  2. リトリート

2022年度SVJPシリコンバレー・リトリート報告

SVJP Annual Retreat

コロナ禍の影響により3年ぶりの米国開催となったリトリート。今年は10月6日−9日にハーフムーンベイにて開催された。前回米国開催時と同様ホテルセッションはオーシャンフロントのリゾートホテルThe Ritz-Carlton Half Moon Bayを会場とし、日米の第一線で活躍するリーダーたちのバイラテラル・セッションも多数設け、参加者と共に活発に議論し合った。新たな試みとして、シリコンバレーにて活躍しているスタートアップ7社のCEOを招き、グループディスカッションを交えて最先端のテクノロジーを紹介した。

Session 2 Audience

2022 Retreat Time table

セッションレポート

2022年10月6日(木)

オープニングセッション

2022年のSVJP Annual Retreatのスタートは、共同議長であるダニエル・オキモトのセッションから始まった。そこでは自身の体験を交え、SVJPを立ち上げた理由、そして日本の企業やアントレプレナ ーとシリコンバレーのコミュニティをつなぐ意義について語った。

Dan presenting his story and the history of SVJP

SVJP共同議長 ダニエル・オキモト氏

Session 1:U.S. & Japan Cyber Security Culture

このセッションでは、マット・ホネア氏と松原実穂子氏が、米国と日本それぞれの視点でサイバーセキュリティの重要性について議論した。サイバー環境が急速に変化する中、セキュリティーに対する投資を増やし、個の意識を高め、リソースを改善することは、私たちのサイバープロテクションに不可欠となっている。参加者からも活発に意見が上がり、会場のサイバーセキュリティーに対する意識の高さが表れるセッションとなった。

Session 1

左:マット・ホネア氏(SmartNews) 右:松原 実穂子氏(NTT)

2022年10月7日(金)

Session 2:How Silicon Valley Uses Digital Technology

本セッションでは、SVJP プレジデントのジョン・シャロウィッツが、様々な分野のテクノロジー を活用したスタートアップの創業者及び経営者 7 名と対談。本セッションでは、スタートアップがど のように技術を生み出したかだけでなく、その技術がどのように実装されているかを重点的に議論した。各スタートアップのプロダクト紹介をうけ、参加者は日本側の視点も紹介し、今後の技術発展についてスモールグループでのディスカッションを行った。

Session 2 Head shot

左上より:五十川 舞香氏(Webacy), パラム・カロン氏 (UiPath), サム・ホッジス氏(Vouch), プラカーシュ・マナ氏(Cloudbrink), イン・セン氏(AiFi), クリスチャン・ゴームセン氏(Eargo), アーマッド・アルガジー氏(CAN)

2022年10月8日(土)

Session 3:Global Value Chains in a Changing World

このパネル・セッションでは、中国との緊張の高まりがグローバル・バリューチェーンに与える影響につ いて議論した。グローバル・バリューチェーンには、サプライチェーンのほか、市場、技術パートナ ー、技術者プールへのアクセス、企業の製品に貢献する研究センターなどが含まれる。モデレーターのカルタビアーノ氏は中国との各国の関係性の変遷も交えながら、近年の緊迫した国際情勢の中でいかにして企業がレジリエンスを高めていくことが重要かについてパネリストと共に議論した。

Session 3 Global Value chain

左から:グレッグ・カルタビアーノ氏(HGGC), ナヴィード・シェルワニ博士(RapidSilicon), カーン・ブディラージ氏(Tesla), 森田 隆之氏(日本電気株式会社)

Session 4:Web3/Cryptocurrency/NFTs: Tools for a Decentralized Future

比嘉ジェームス氏とハーパー・リード氏は、いま注目されているWeb3の今後の可能性について語った。Web3は、ブロックチェーン上に構築された分散型オンライン・エコシステム であり、現在も発展を続けている。両氏は、Web3から生まれるイノベーションは、eコマースやソーシャルメディアといったWeb2.0が生み出したブレークスルーよりも重大かつインパクトのあるものになると主張した。分散したコンテンツベースのファイルシステムや新しいプログラミング言語、ト ークンベースの検証によって成り立つWeb3が浸透することで、人々の資産や他者との関係性に変化 を与えるような多くの斬新なアプリケーションが生み出されるだろうと述べた。参加者からはWeb3を自社のビジネスにどのように活かすことができるのか、今後の展開はどのようなものなのか、高い関心が寄せられた。

Session 4

左:比嘉 ジェームス氏(Offline Ventures) 右:ハーパー・リード氏(General Galactic Corporation)

Session 5:Future of Work: Attracting, Maintaining and Training Talent

新型コロナ感染症の大流行により、労働環境は大きく変化し、特にリモートワーカーは急増した。技術革新により、多くの人材はより柔軟に、自分らしく働くことが可能になった。一方で、企業は厳しい労働市場から人材をいかに獲得・維持していくのかが課題となってきている。企業のミッションをどのように従業員に浸透させていくのか、日米三名の専門家がそれぞれの経験、視点において重要視している点などを共有した。

Session 5

左から: ベティ・スー・フラワーズ氏(テキサス大学オースティン校), ジョディ・ラビノウィッツ氏(Zoom), クリスティーン・カワイ氏(Amazon), 鍋嶋 美佳氏(東京海上ホールディングス株式会社)

Session 6:Accelerating Digital Connections Between the U.S. and Japan

このセッションでは、河野太郎大臣がデジタル庁の役割と施策について、日本からオンラインでプレゼンテーションを行った。冒頭、ダニエル・オキモト氏は、日本が世界第 3 位の経済大国でありなが ら、デジタル競争力は世界第 28 位にとどまっていることを引き合いに出し、河野大臣の任務の緊急性を強調した。セッションの後半では、ビル・ブラッドリー氏が加わり対談を行った。

Session 6

Zoom 画面上:河野 太郎大臣(デジタル庁) 左:ダニエル・オキモト(SVJP 共同議長) 右:ビル・ブラッドリー(Allen & Company)

2022年10月9日(日)

Session 7:Quantum Technology and its Global Impact

モデレーターの五味氏は冒頭、量子コンピュータは1980年代から存在していたことに触れ、現在その存在がこれまで以上に注目され、研究開発のための資金も多く集まっていると紹介した。量子コンピューディングの変遷や今後の課題などにも触れ、今後のビジネスへの展開などを日米三名の専門家が予想した。

Session7

左:五味 和洋氏(NTT Research, Inc.) 中央:伊藤 公平氏(慶應義塾大学) 右:馬渕 英夫氏(スタンフォード大学)

 

2022年10月7日(金)サイト・ビジット

【Site Visit】ServiceNow

SVJP の新しい U.S.チャーターメンバーである ServiceNow のサイトビジットは、CDIO のクリス・ベディ氏が「すべての人により良い働き方 を」という SVJP と ServiceNow の共通の価値観に触れ訪問団を歓迎し、温かいムードのなか開始された。プレゼンテーションでは同社の歴史やデジタル・トランスフォーメーション(DX)における役割、今後の日本市場に対する展望などが共有された。参加者からの ServiceNow の挑戦と成長の過程に対する称賛とともに、日本市場へのコミ ットメントへの敬意が共有され、サイトビジットは終了した。

Site Visit