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Y Combinator MEET UP: 2018 in Tokyo

 

From Japan to YC

 

日本人チームとしてY Combinatorに初めて採択された起業家、福山太郎氏自身の口からY Combinatorでの経験とそこで学んだこと、アメリカでの起業のリアルについて語った。

 

 

福山 太郎

Taro Fukuyama
Fond 共同創業者兼CEO

 

2011年にAnyPerk(現Fond)を創業。日本人チームとして初めてYCを卒業し、2012年より福利厚生のアウトソース事業を米国で展開する。現在の社員数は約50人。YCのほか、DCM、アンドリーセン・ホロウィッツ、デジタルガレージ、サイバーエージェントなど国内外の大手VCから30億円超を調達。慶応義塾大学法学部卒。日本のアクセラレーター「Open Network Lab」の第3期生。

 

 

「米国で『起業』することは、みんなが思っているほど不可能じゃない」

 

​ シリコンバレーはスタートアップにとっての『メジャーリーグ』。起業家もエンジニアも投資家もみんな一流の人ばかり。逆に言えば、競争は厳しくて、採用から資金調達まですべてが苦労の連続。メディアで伝えられているほど、華やかでいいことばかりではありません」

 

YCを卒業した初の日本人起業家であるFondの共同創業者、福山太郎氏は、シリコンバレーでの日々をこう語った。マイクがいらないほどの大きな声、Tシャツの下にのぞく筋肉、そしてスピード感あふれるプレゼンテーション。「メジャーリーグ」で戦っていることはその背中から伝わってくる。

 

Fondはサンフランシスコに拠点を置く2012年創業のスタートアップ。おもに中小企業向けに福利厚生サービスを提供する。顧客はSalesforceやDropbox、Lyftなど500社以上。2015年に米ビジネス誌「Fast Company」の「最も革新的な企業50社」に選出されたこともある。

 

福山氏がYCに参加したのは今から7年前。当初はソーシャルアプリを開発していたが、顧客数が伸び悩んでいた。「YCではプログラムの最終日に数百人の投資家の前でプレゼンするんです。そんな機会は起業家人生で一度しかない。その日に最高の状態で臨むには、現在のサービスを改善するより、一から別のサービスを作った方が早いと考えました」

 

最初の1カ月間は毎朝チームメンバーと新しいアイデアを考えては、街へ繰り出して「あなたならこのサービスに5ドル払いますか?」と尋ねて回った。最終的に現在の「福利厚生」の事業アイデアに落ち着くまで、7回もピボット(事業転換)を重ねたという。

 

福山氏はYCで教わった言葉をいくつか紹介した。その一つは、「人々が欲しがるモノを作れ」だ。「福利厚生のアイデアが浮かんだとき、最初にポール・グレアム(YC共同創設者)に相談したら『それはぜんぜんダメだ』と言われました。ところが、『5ドル払うという人がいた』と伝えると、彼はすぐに考えを変えたんです。YCのパートナーたちは、自分の意見よりもユーザーの意見を大切にしていると感じましたね」

 

福山氏は、YCに参加するメリットの一つに、「ネットワーク」を挙げる。「日本から行くと、人脈もなければ、知り合いもいない。そんな中、YCに入れば、1900社の卒業生がいて、同期も僕のときは65社。彼らの紹介があれば、シリコンバレーのほとんどの人とつながれるんです」

 

会場の出席者からは「米国で起業するにあたって言葉の壁を感じたか」との質問が出た。福山氏は自分自身の体験をもとにこんなアドバイスをする。

 

「僕らはパートナーから『同期65社の中で君らが最低だ』と言われました。アイデアは良くないし、創業者はろくに英語もできないと。でも米国で起業することは、みんなが思っているほど不可能じゃない。シリコンバレーでは、同じように挑戦しているほかのアジア出身の人たちがそこら中にいる。言葉ができないことを言い訳にしないことが重要です」

 

 

 

How YC Works

 

Y Combinatorのアプリケーションを審査するパートナーに、スタートアップの選考方法、採択プロセスおよび、実際のプログラム内容やそこで得られることを共有していただいた。

 

 

ティム・ブレイディ

Tim Brady
Y Combinator パートナー

 

1990年にスタンフォード大学(電気工学専攻)を卒業後、モトローラの日本法人に約3年間勤務し、日本でキャリアをスタートさせる。その後、ハーバード大学でMBAを取得し、1995年に創業初期の米Yahoo!に入社。CPO(最高製品責任者)として同社の急成長を支え、ヤフージャパンの立ち上げにも関わる。2011年に教育アクセラレーターのImagine K12を創設。2016年より現職。おもに教育関連のスタートアップを支援する。

 

 

「どんなにアイデアがすばらしくても99%はうまくいきません」

 

今年の夏季プログラムには、世界中のスタートアップ8500社から応募があったという。そのうち、書類選考と対面での面接に合格し、実際に参加したのはわずか140社。合格率は2%にも満たない。

 

YCに入るためには、よほどすごいプロダクトやビジネスモデルがないと難しいと思うかもしれない。だが「参加企業の60%はプロダクトをローンチする前の段階です」と、イベントに登壇したYCパートナーのティム・ブレイディ氏は打ち明ける。つまり、アイデアないしはプロトタイプ(試作品)だけの状態でも参加可能なのだという。

 

パートナーとの定期的な面談や、成功した起業家を招いた夕食会、さらには参加者同士を結ぶSNS……。YCはプログラム期間中も期間後も、あらゆる方法で起業家たちを手厚く支援する。同氏はその具体的なプログラム内容や応募プロセスについて丁寧に説明した。また、近年はソフトウェアだけでなく、「AIやロボティクス、バイオ、宇宙などあらゆる産業に投資している」と語った。

 

日本の起業家にとって気になるのは、YCに参加するからには米国に拠点を移さなければならないのかという点だろう。これについて同氏は、「外国企業の約半数は卒業後に本国へ戻る」と明かし、「大きな市場をとれる可能性があるなら、日本市場に特化したビジネスでも問題ない」と述べた。

 

会場からは、選考プロセスに関する質問が多く出た。「面接ではどんな点を重視しているか」との問いに対して、ブレイディ氏は「アイデアよりも人やチームが重要」だとして、次のように答えた。

 

「どんなにアイデアが素晴らしくても、99%はうまくいきません。それよりも、創業者らがプレッシャーにどう耐えるか。『そのアイデアは最悪だ』とけなされても、めげずに立ち上がれるか。そして新しいアイデアを素早く学習できるか。そんな起業家としてのマインドセットを見ています」

 

今回のイベントは、日本の起業家にとってYCのプログラムを知り、体験する場であると同時に、YCにとっては、日本の有望なスタートアップを発掘する場でもある。イベントを終えたブレイディ氏はこんな言葉を残した。

 

「日本のスタートアップ・エコシステムはわれわれが想像していた以上に活発で驚きました。大学の起業家やメンターたちのクオリティも一流です。今後、YCが日本のスタートアップとの関わりを深めていけるのを今からとても楽しみしています」

 

 

 

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